パストラルホールの概要

 古代ギリシア人が人類史上はじめて生み出した民主制という政治形態を支えたのが都市国家という居住形態でした。かれらの都市には、アクロポリス、アゴラ、アミューズメントという3つのAで始まる市民のための場所があり、アクロポリスは宗教に、アゴラは政治と商業に、アミューズメントは芸術とスポーツに対応した都市のプログラムでした。
 周東パストラルホールの建つ丘一帯は、文化とスポーツの丘として整備される予定であり、ギリシア人が愛したアミューズメントという都市のプログラムに対応します。古代ギリシア人たちは、そうした都市のプログラムに対して、明快な形態を与えました。その典型で、そしてもっともシンボリックなものがアンフィシアター、すなわち野外円形劇場です。1500人収容できるアンフィシアターは、外殻として外部からの音を遮断するとともに、そこからの音や振動が内部に伝わらないように独立した構造体をもち、その中に500席の本格的なコンサートホールを内包しています。2つの全く異なった形式を持つパフォーマンスの場が上下2層に重なったこの建物の空問構造は全く斬新なもので、世界にも他の類例を見ません。コンサートホールでは、クラシック音楽を中心にしたコンサート、講演会、映画などが、アンフィシアターでは、野外コンサートやさらには演劇やダンスなどのより幅広い分野の催しが行なわれ、人々の交流を深める場が創出されます。

 ギャラリーは、美術や写真の作品展示などの催しの場です。音楽を中心に芸術に関する資料を集積し閲覧できるライブラリーとともに、さまざまな一情報が行きかうパストラルホールのもう一つの核となります。外から直接にもアプローチでき、まちを一望にするテラスをもったカフェを含めて、日々の市民の憩いの場ともなることでしょう。
 そして、プロムナードがこれらの場所をむすびつけ、人々が回遊し、スポーツを楽しみ、音楽に親しみ、人々と出会い、語らい、文化を育む場面をより活性化する装置となります。それは、文字どおり散策路として勤労青少年ホームや体育館のまわりをめぐり、周辺の自然と建物とを一体化し、この地区全体を一つの公園に統合する役割を果たします。一方、屋内では、コンコースが同様の装置として、さまざまなプログラムを関係づけています。天空から降り注ぐ光は傾いた壁によって導かれ、訪れる人々の記憶に、パストラルホールを確かに刻み込んでくれることでしょう。

PASTORALHALL/HALL DATA